写真で空想世界を再現するコスプレイヤーの撮影術とは?
2017.07.27漫画やアニメ、ゲームなどのキャラクターに扮する“コスプレ”は、今や海外からも注目を集める日本文化のひとつです。そんなコスプレの魅力は、単にキャラクターに扮するだけでなく、写真の中で独特な世界観を表現できることでもあります。今回は、自らもコスプレ写真の撮影を行っているという、世界コスプレサミット2015.2017日本代表コスプレイヤーのマヒオさんにお話を伺いました。
現実世界でつくる、空想の世界観
まるでイラストのようなコスプレ写真は、いったいどのように撮影されているのでしょうか。あまり知られていないコスプレ写真の裏側に迫ります。
「最近ではアニメや漫画キャラクターのコスプレ写真をSNSやネット上で見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?アニメや漫画に登場する、いわゆる“二次元”のキャラクターに扮したコスプレ写真は、躍動感があり現実離れした、まるでイラストのような雰囲気が特徴的です。こうした空想の世界観は撮影の際にコスプレイヤーとカメラマンによって作られています。」
「ほとんどのコスプレ写真は、コスプレイヤーやアマチュアカメラマンたちが趣味で撮っています。『え、趣味でここまでやるの!?』『どんな機材やテクニック使ってるの!?』と驚かれることもありますが、『身近なカメラでちょっと工夫すればできる方法』を使ってる人が大半です。」
▼主に使ってるもの
・一眼レフカメラ&レンズ(初級〜中級機やミラーレス)
・レフ板(主に自然光で撮影する時に顔に当てます)
・ストロボ(クリップオンストロボ)
・衣装一式
・小道具など
・Photoshopなどパソコンで使う画像編集ソフト
・スマホのレタッチアプリ
「最近では、本格的な機材を使ってガッツリ撮影するアマチュアカメラマンさんと協力して作品撮影をすることも増えましたが、コスプレをしている人の多くがとりあえず自分でカメラを握り、友達同士で撮り合いしながらカメラの使い方を覚え、キャラクターや作品のイメージに近づけるよう工夫しています。」
photo nachico『マギ』より練白龍:マヒオ
「上の写真は一緒に撮影に行った友人に協力してもらって撮ったものです。シャッターを切る瞬間に『3、2、1、せーの!』で髪飾りの布を跳ね上げてもらって躍動感を出しました。コスプレ写真は友達の優しさで出来ています。」
「近年では、ビックサイトなどで行われるイベントやロケ地での撮影だけではなく、コスプレ撮影専門のスタジオもたくさんあるので、誰でも手軽に素敵な写真を撮って作品作りを楽しめるようになりました。」
三脚・リモコン・ひらめきで自給自足のコスプレ自撮り!
日程の都合などでいつもカメラマンに撮ってもらえるとは限らないというコスプレの撮影。カメラマンがいないときにはどのように撮影しているのでしょうか?
「カメラマンとして撮影してくれる友達や仲間がいるとき、コスプレイヤーは被写体に徹していられます。しかし、肝心のカメラマンの予定が合わないことも少なくありません。そんなとき、コスプレイヤーは自分たちだけでも撮影できる方法を考えます。」
Model 万鯉子・マヒオ
「上の3つの写真はセルフタイマーモードにしたカメラを三脚にセットし、リモコンを片手に持って撮影しました。(手の中のリモコンはシャッターが切られる瞬間に、うまーく隠しちゃいます。)」
「最近のカメラは、バリアングルモニター搭載なので以前よりも“コスプレ自撮り”が格段にラクになりました!(笑)人物構図のバランス、光の入る角度、レンズの相性などなど、試行錯誤し、被写体である自分たちだけでも素敵な写真が撮れるように、隠れた努力をしています。」
「このような方法で、一見そうとは思えない“自給自足コスプレ写真”を撮っているパターンが、コスプレイヤーの写真には意外と多いです。」
ポージングや演技で作品イメージに近づけるのも醍醐味
「コスプレ自撮り」に限らず、コスプレ写真を幻想的に見せるには、ポージングや演技も重要なポイントです。
「少年漫画やゲームのキャラクターのコスプレ写真を撮影するときは、武器を持って緊張感のある1枚を。スポーツ系漫画などのキャラクターのコスプレ写真を撮影するときは、作中の躍動感を再現した1枚を。このように、まるでドラマや映画のスチール写真のように、シーンを切り取った写真を撮るのがコスプレ写真の醍醐味でもあります。そんな一瞬を演出するのが、ポージングや演技です。」
photo 谷山りき 『マギ』より練白龍、『黒執事』よりシエル
「上の2つの写真も、『この作品の世界観はこうだから、こんなふうに立ってみよう』、『キャラクター同士の関係性がこうだからもっと表情を変えて』……と、撮影してくれる友達やカメラマンさんとその場で撮りたいイメージを相談しながら、撮っていきました。」
「ポージングをバッチリ決めたものから、キャラクターの日常風景を表現しているものまで、コスプレ写真のバリエーションもいろいろです。子供の頃にやった、憧れのヒーローになりきるごっこ遊びが、今のコスプレの写真作品の原点かもしれません。」
photo のい(右上から時計周りに、そら、おが、あきら、雪ィ)
「こちらは、『スマホを使った自撮り』と、『自撮りしているところを撮影された写真』です。自撮りをする時に表情を作ったり、外の光が綺麗に入る方向を見つけたりすることを瞬時にできるようになってしまうのがコスプレイヤー。ちょっと暗い場所で撮影する際は、さりげなく顔の前にレフ板を当てて光をプラスして″盛った″りしています。」
「もちろん、撮影した写真はあとからスマホアプリで肌や色調の簡単なレタッチもしますが、Photoshopなどの本格的な編集ソフトを使った色調補正や肌レタッチも自分でやってしまいます。最近では、撮った写真で写真集や作品集を自分で作っているコスプレイヤーさんも増えてきているそうです。」
次回は、そんなコスプレイヤーさんのレタッチ編集や、作品集づくりについて、引き続きマヒオさんにお話を伺っていきます!
この記事もおすすめ
>> 神秘的な写真が簡単に撮れる!「宙玉レンズ」って知ってる?
>> 表現方法を広げる!「多重露光」で幻想的な1枚を