コラム

写真家・鈴木さや香さんが教える、写真の楽しみ方、飾り方
~出産を記録した思い出のマイブック編~

2017.03.10

撮影するだけに留まらない写真の楽しさを伝えたい。そんなテーマに沿って、子どもの写真や写真封筒などで人気の写真家・鈴木さや香さんに、自らの妊娠・出産を記録したというマイブックについてお話を伺いました。

写真を「撮る」楽しみと「記録」する楽しみ


先日お子さんが生まれてお母さんになったという鈴木さんは、その経験を通して「理想的な写真を撮る」という楽しさに加えて、「ありのままを記録する」という楽しみが芽生えたそうです。みなさんも、視野を広げて今までとは違った視点で写真を撮り、新たな楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか?



「これまでにも“子どもと触れ合う機会”は撮影を通してたくさんあったのですが、いざ自分が妊娠・出産してみると、心境や思考の変化があることに気が付きました。今までは、自分が見たものに対して『もっとこうだったらいいな』という理想をもって写真を撮っていたところがありました。それが子どもが出来てからは、そう思わなくなったんです。

たとえば、今までは曇りの日に撮影するとき、『この場所が晴れていたら本当はもっとキレイだっただろう』と思って撮っている時もありました。それが、子どもを授かってからは、たとえ曇りや雨の日だったとしても悪天候の中のこの風景を愛しく思い、ありのままを写真に残したいと思うようになったのです。

それは風景でなくても同じでした。目の前に家族がいるなら、その家族の存在を、格好つけていない瞬間瞬間を切り取って、子どもが成長したときに見せられるよう写真で伝えていくことが大切だと感じています。」

マイブックを利用して、たくさんのお気に入り写真を1冊に


お気に入り写真をお部屋に飾るというのも素敵ですが、たくさんの写真をまとめてスマートに人に見せるならマイブックなどのフォトブックサービスを利用するのもひとつの方法。鈴木さんも自分の出産をきっかけに、結婚から出産後の現在までの記録をマイブックに綴って思い出に残しているそうです。



「写真は撮った人の心の記憶です。物は残しておくことができても、心の記憶は忘れてしまうことも多いもの。そのときの熱い気持ちを残しておく方法の1つがフォトブックなんです。私自身も“妊娠がわかってからまだお腹にいたときの赤ちゃんの様子”“出産してから現在まで”を写真で記録しています。撮り貯めたたくさんの写真は、何冊かのマイブックにまとめました。両親や友人に我が子の姿を見てもらうだけでなく、いつか大きくなった我が子にも、自分が生まれてくるまでの物語をこのマイブックを通して知ってほしいと思っています。」


「夫婦の歩みの中で子どもがどうやって誕生し成長していったかを、写真で追って何冊かのマイブックにまとめました。上に写っているマイブックは、右が自分の出産前の数日から出産を経て退院までをまとめたもの。左が息子の生後1ヶ月の様子を記録したものです。」


こちらは裏表紙です。



「息子が生まれる前、妊娠中に撮った写真をまとめたマイブックには、息子が生まれるまでの環境や季節をまとめたいと思い、風景などが多く入っています。今か今かと待ち遠しい秋の初め。突然の早朝の陣痛。急な入院からの出産。病院での静かな痛みと、息子の寝顔。初めて病院から出る退院の朝。そんな私自身の変化と季節の様子がわかる写真を選んで1冊にまとめました。」



「生後1ヶ月になった息子を、ママ目線で撮影してまとめました。小さかった新生児が乳児へと変化していく過程を追うように構成しています。ただただ小さな新生児から、色々な表情を見せる乳児へ。時間軸に沿って写真を並べたので、マイブックが出来上がって改めて始めと最後を見比べると、子どもの大きな成長にびっくりしました。」


ディスプレイにもぴったり!お手頃なサイズ感で気軽に作れるのが魅力

鈴木さんが今回作成したマイブックは、いずれも『ハードカバータイプ』。ラミネート加工したもので、サイズは26センチ×26センチのものです。



「ちょっとした“人の優しさ”でほっこりしたことも、忘れないように残しておきたいと思い、撮り貯めた写真をまとめました。今回は紹介していませんが、結婚してから今日までの夫婦のマイブックも作っており、色々な思い出を写真とともに残しています。

マイブックなどのフォトブックを作るとき、写真を大きく見せたいために大きなサイズのものを選びがちですが、あまり大きすぎてもインテリアとして置く場所に困ってしまいます。ライフスタイルや用途など自分に合ったものを選ぶと良いと思います。

撮影するカメラも同じです。“高いものが良い”というわけではなく、スマートフォンで撮影した写真が自分のイメージに合うならそれでいいと思います。堅苦しく考えることなく、自由に気軽にマイブックづくりにも挑戦してみてください。」

出産のフォトブックや子どもの成長記録のフォトブックを作るときに、どうしてもやってしまいがちなのは、赤ちゃんの顔写真ばかりを選んでしまうこと。
赤ちゃんの顔だけではなく周りの様子も写真にいれると、空気感や時間が伝わり後から見返すときもそのときの情景が蘇りやすくなるでしょう。



「フォトブックを作るときに写真を配置するコツは、同じ大きさの写真を並べないこと。大小の変化をつけるとリズムが出て楽しい見せ方になります。また、色味をなるべく揃えると、まとまりがよく見えます。

また、映画や小説のように序盤の誘導からメインの盛り上がり場所、ラストシーンというようなストーリーを意識するとドラマチックになり、後で見返しても思いが込み上げてくるようなフォトブックが出来上がります。」


「出産までと生まれてからの成長を記録したマイブックは、すぐ手に取れるように部屋のキャニスターの上にディスプレイしています。」


まとめ



「出産などの貴重な体験は、記録を見返す度に素敵な思い出が蘇るはず。また、エコー写真は一般的に感熱紙に印刷されているので、通常であれば時間が経つと色褪せてしまいますが、ずっと残しておきたかったので、写真に撮ってマイブックの中の1枚に入れました。

子どもは、お母さんのお腹の中にいるときのことや自分が生まれたときのことを知りません。だからこそ、後で見せてあげたいと思いマイブックを作りました。結婚、妊娠が発覚するまで、妊娠中~出産、そして今。そのときの気持ちや風景を覚えているつもりでも、忘れてしまっていることもたくさん。でもこうして写真に記録にしたりフォトブックを作ることで、ただ頭で覚えているよりも鮮明に記憶に残っていきます。みなさんもぜひ日々の物事を写真に撮ったらフォトブックでまとめて、何年か後に見返してみるというのはいかがでしょうか。」

(鈴木さや香)

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