コラム

風景写真の撮り方
~ 雪景色を美しく撮影するコツ ~

2016.01.15

2015年もあと少しになり、このところ、ぐっと冷え込んできました。この様子ですと、日本各地で雪が降る日も多くなりそうですね。そこで、雪景色撮影のポイントをいくつかご紹介します。

暗め!白すぎ!露出設定は慎重に!


©mountain-trip 1/125 f16.0 ISO 100
http://www.pashadelic.com/ja/photos/238307

真っ白な雪景色は、オートでそのまま撮ると、逆光状態の時のようにすごく明るい状況だとカメラが判断して、実際の風景よりも暗く写るように調整してしまいます。

そのためオートで撮影する場合は、露出補正を+2前後まで大胆に調整して、明るい雪景色が白く明るく写るようにしましょう

ただし、白いからといって明るくしすぎると、白紙のように何も描かれていない素抜けの状態になってしまいます。
液晶画面で拡大表示をしたり、ハイライト警告やヒストグラムという機能を使って真っ白に飛んでしまっていないか、しっかり確認しましょう。

ハイライト警告とヒストグラム


©yhisano 1/180 f6.7 ISO400
http://www.pashadelic.com/ja/photos/296179

先ほど写真の明るさの話の中で、ハイライト警告とかヒストグラムという言葉が出てきましたので、改めて解説します。

ハイライト警告機能とは、写真の画面に真っ白の巣抜け部分ができていることを、点滅などで教えてくれる機能です。白とび警告というカメラもあるようです。

ヒストグラムは、画面の中にある明るさの分布をグラフ化したもの
で、写真全体の明暗がどのような傾向にあるかが客観的に判断できます。 明るい屋外で、液晶画面では写真の色や明るさが判断しづらいときなどに表示すると良いでしょう。

ヒストグラムの表示機能の中に、赤、緑、青の3色に分かれているものがあります。これは、写真の色の偏りを判断するときに使います。光は、赤と緑と青を混ぜると白になりますので、それぞれの色のグラフと写真の色傾向とのズレを見ることで、ホワイトバランスが適切に設定されているかを判断することができます。

例えば白い雪景色を撮影したのに、青や赤が他の色のグラフとずれているときは、その色に傾いた色調になっていることが読み取れます。

ハイライト警告はメニューボタンから、ヒストグラムは、カメラ背面の液晶で写真の再生表示を変更するボタンなどから呼び出せます。
カメラごとに違いがありますので、わからないときは説明書を確認してみましょう。

真っ白な風景の中に色をつける


©takahiro.takenouchi ISO50
http://www.pashadelic.com/ja/photos/258640

雪は白いキャンバスです。 そのため、光の色によっては上記写真のように色鮮やかに染まるのです。
特に、朝焼けや夕焼けの色に赤く染まった雪景色は、冬の雪の時期にしか見られない風景を描き出してくれます。

他にも、真っ白な雪に染まったモノトーンの背景の中に、真っ赤な電車を写し込んでみるなど、白い雪の風景の中に色を挿すことで、印象的な風景に仕上げることができます。


©junichi.kofude 1/400 f10.0 ISO 100
http://www.pashadelic.com/ja/photos/231497

空に舞う雪を止めて写す

まるで絵本のようにシンプルな風景の中に、雪が舞う写真。
このような写真は、雪が降る中でストロボを光らせることで撮影できます

ストロボの光は一瞬なので、舞い降りる雪の瞬間を止めて写してくれます。
そしてカメラの近くから光らせたストロボの光は、カメラに近い位置ほど強く遠くになると弱く届かなくなります。

ですから、手前に落ちる雪に強く光が当たって、雪が浮き立つように写るのです。

キラキラする風景は逆光で撮影しよう


©ryujiyoshimura 1/1600 f8.0 ISO400
http://www.pashadelic.com/ja/photos/216848

雪が凍って結晶化すると、強い光でキラキラと光ります。
樹氷やダイヤモンドダストが有名ですが、日中少し溶けて、一晩たって凍った雪の表面もキラキラしています。

そんなキラキラを撮影したいときは、逆光か、少し斜め横にかけての方向から光が来ている半逆光状態を狙いましょう。この時も、白い部分が明るくなりすぎないように、しっかりチェックして撮影しましょう。

雪の上にできる影を撮ろう

冬の太陽はあまり高く上がらないので、斜めからの光になりやすいです。
低い位置からの斜めからの光は、雪面の凹凸で、光と影の部分を作ってくれます。

影は、立体感を表現するのに大切な部分です。雪の真っ白な部分に奥行きや立体感を描いてくれるのは、影なのです。
光の部分だけでなく、影になっているところにも注目して撮影しましょう

カメラやレンズの寒さ対策をしっかりやっておこう!


©masayuki-shiroyama 1/250 f4.0 ISO100
http://www.pashadelic.com/ja/photos/272745

カメラやレンズは寒さに弱いです。 特に電池性能の低下と結露には要注意です。

電池は、低温の環境では消耗が激しく早く切れてしまいます。冬の外出先で、じっくり写真撮影を楽しみたいときには、予備の電池を持ち歩くと安心です。

少しでも電池の持ちを良くしたい場合は、予備バッテリーをジャケットの内ポケットなどに入れて体温で温めながら、カメラ内のバッテリーと時々入れ替えて使用すると良いでしょう。

冷気は、上から降りてきますから、カメラに小さめのブランケットをかぶせておくのも、寒さ対策に有効です

レンズやカメラの結露に気をつけよう!


©takataka3 1.3sec f5.0 ISO800
http://www.pashadelic.com/ja/photos/271774

寒い部屋に置かれていたカメラや、撮影で外を持ち歩いていたカメラを暖かい部屋に持ち込むと、レンズが一気に曇ります。 これは、暖かい部屋の空気中に含まれている水分が、冷えたカメラに触れて水滴化するために起きる現象です。

レンズ表面やカメラの外側でこの現象が起きている分には、水分を拭き取ってその場の温度に馴染んで落ち着かせれば曇らなくなりますが、カメラやレンズの中で水滴が発生すると、内部のレンズ表面に水滴によるシミができたり、電気部分に水滴が発生すると故障の原因になったりする場合があります。

対策としては、カメラやレンズをしばらくカバンに中などに入れたままにして、暖かい部屋の温度に徐々に慣らしていくのが良いでしょう。 カメラやレンズをむき出しのまま、急に暖かい部屋に持ち込むことは厳禁です!

機材への落雪や着雪、冷えきった三脚にも気をつけよう


©masakazumiyamoto 1/8 f11.0 ISO 1000
http://www.pashadelic.com/ja/photos/290674

そのほか、カメラに付着した雪が溶けてカメラの中に水として入り込んでしまうことがあります。
自分自身の寒さ対策だけでなく、冷え切った三脚の金属部分に素手で触れることによる凍傷など、暖かい時期にはない注意点がありますので、気をつけて撮影しましょう。

雪が積もった道は、普段見えるところが見えなくなっているので、溝に積もった雪に足を突っ込んで、思わぬ落とし穴にはまって怪我をすることもあります。着込んでいる上に、体が冷えて動きが鈍っていたり、手がかじかんで動かなかったりしますので、いつもよりも、気持ちや体力に余裕をもたせて撮影に臨むことも重要です。


©randy_hiwatt 1/125 f11.0 ISO100
http://www.pashadelic.com/ja/photos/276794
それでは、ここでご紹介したポイントに気をつけながら、今年の冬は真っ白な銀世界での撮影を楽しみましょう!

(川上博司)

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